レーマー杯
ドイツ或いはオランダ
14cm 高
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レーマー杯
ドイツ或いはオランダ
17世紀末
寸法|14cm高 6.1cm口径 5.4cm底径
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ボウルは柔らかに膨らんで張りをもち、
ステムの木苺装飾は大ぶりで数も備え、
滑り止めの機能が形骸化される以前の
本式の造形を留める17世紀末のレーマー杯。
ごく薄い緑色は、森林ガラス特有の灰や砂の未浄化がうかがえ、
本品は特に透き通った翡翠のような色が美しくでています。
ところで、フランドルの静物画ではお馴染みのレーマー杯は、
酒杯だけではなく花を盛られた器としても登場し描かれています。
籠を花づくしに、果物の葡萄や葉蔓文を細密に器面へグラヴュールしたのは、
そんな絵画の中のレーマー杯を彷彿とさせ、
ヴァニタス画の影響下による一種の装飾かとも思えました。
ともあれ、無地レーマーの魅力とはまた異なる
奥行きを楽しんでいただける作品です。
そして、レーマーの特徴としてステムはキックイン跡のある空洞ゆえ、
液体が入るので見た目以上の酒量となる。
注げるだけでも有難いものですが、より美味しいワインへ変わりそうな
17世紀のエッセンスを受け継ぐ、ほぼ完器のレーマー杯です。
・状態
スカート状の底部に、一箇所わずかな欠けがありますが、
他に傷は無く、ガラスも曇っておらずほとんど完器と言える状態です。
※レーマーグラス (roemer glass)
その呼称については、“ローマの”とか、“祝福や乾杯”や、
単にラム酒を飲む為のグラスだから。など諸説あるそうです。
本品のグリップにあるラズベリー装飾は、大きさと数を備えており、
滑り止めとしての機能を果たしていたことが判ります。
というのは、西欧でもその頃は手食文化があり、
油まみれの手で掴んでも滑らないようにと溶着されたもの。
18世紀以降はカトラリー普及に伴い、次第にラズベリー装飾は減少していき、
事実上機能を失った意匠のみとなりました。
その滑り止め装飾の起源はローマンやビザンチン・グラスまで遡るともいわれます。
ガラス生地は森林グラス特有の灰や砂の未浄化がうかがえる
薄緑色がかった色を呈し、弾けば高い澄んだ音が響く。