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珠州壺

13世紀-14世紀

 

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頸から肩への自然釉が、山頂を覆う冠雪のごとく白く降りかかった珠洲焼壺。

球形にふくらみ、肩は張り出し、歪に傾く。磨かれて鈍色に光る灰黒色の肌は、豪快で力強く、苔生した古い岩石を観るかのよう。

珠洲壺の特徴的な技法である叩き目や箆書きは施されず、硬くて重たい、この暗い漆黒の無地は、さまざまな中世壺の中でも最も惹き込まれてしまう景色の一つです。

平安末から室町時代にかけて能登半島で作られた珠洲の焼物。半島の地域性や風土のもと、須恵器の技法を受け継ぎながら、各地の古窯や中国陶磁からの影響などもみられる民需品や宗教具などが焼造されています。
そして、燻べの還元焼成による黒や灰色の焼肌は中世古窯でも特異とされます。

そこには、生産性や採れる陶土だけでは結びつかない、焼物の色や景色、存在に対する独時の美意識や自負がひそんでいたように思わずにいられません。

地味で落ち着いた静かな黒の粋、褻の心、侘び寂びの色調。意識的に須恵器を受け継ぐことを選んだ珠洲窯としての矜持、地域性と風土への調和と尊重を、奥深い黒の焼肌から想像してしまいます。

 

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