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英国スリップウェア縞文様角皿

 

イギリス
18世紀〜19世紀
28.8cm

 

sold

 

 

 

 

 

展示会前、最後の紹介に。
案内状の表紙を飾るスリップウェア縞文様角皿です。

淡黄色のスリップに赤褐色や黒が滲み出した、その奥深い表情に引き込まれた角皿。
線がゆらめきながら細くなったり太くなったり、黒い下地と交わる変化に富んだ景色は、いつまでも眺めていられる気がします。こうして赤が滲んだ縞文様はスリップウェアの部類でも少し特殊な発色のようです。
柳宗悦が格子文様のスリップウェアを大切に膝の上に置いた写真が残されていますが、その発色も黄色と赤に黒が広がったもので、スリップの生み出す独自で豊かな色彩に以前から憧れ心惹かれていました。

このスリップウェア皿を仕入れたのは2019年の冬。
都内での仕事を終えて、スリップウェアを抱えたままに向かった先は奇しくも矢代さんの御自宅でした。彼がロンドンでの海外勤務の任期を終えて帰国された頃だったと思います。ゆっくりと一緒に食事でもいかがですかと、ご招待いただいたのでした。初めてお訪ねした時の衝撃は今でも鮮明に覚えています。都会の中にありながらも豊かな自然環境に恵まれ眺望もまた素晴らしい。名作建築を改修なされ、既存の壁や設備を活かした設えから日常使う食器のひとつひとつまで彼の思想や哲学が溶け合った空間に居ると、気持ちは静かに高揚していきました。その日を境にして住まいへの基準が刷新され、自分自身の住環境づくりも大きな影響を受けました。

そんな矢代邸で向かい合いながら、見つけて間もないスリップウェア皿を美しいねと、お互いの家族みんなで囲み眺めて語り合ったのは懐かしく温かい思い出です。そして、それはまだ彼が金継ぎ師になる以前。まさか目の前のスリップウェアを主軸に共同展示会を開くなんて、あの日は誰も夢にも思わなかったこと。あれから6年という月日が流れても僕の手元を離れていなかったのは、きっと彼に金継ぎされる運命を待っていたのだろうと改めて思う。

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