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イヌイットのカヤック

 

1860年-1890年頃
長77cm

 

sold

 

 

 

 

 

 

今回の買付では、ヨーロッパ諸国の工芸品以外にも、予期しなかった心を打たれる物との出合いがありました。

それは、アフリカやアメリカ大陸の先住民族によって作られた品々。それら固有の文明や文化から生み出された生活道具や装飾品などの工芸品は、民族芸術としての高い評価は広く浸透していますが、興味深い分野は得難い物も多く、なかなか縁が持てませんでした。
今回は友人の援助もあり、いくつか良い物を持ち帰ることができました。

その一つ、イヌイットのカヤックモデルです。
カナダ北部のアラスカやグリーンランドに暮らすイヌイットの人々が海洋動物の狩猟や水上移動に用いていたカヤック。こちらは実際のカヤックを忠実に模した工芸品です。

このような舟はイヌイットの手工芸として昔から人気のあった作品と云われ、20世紀以前の現存する出来栄えの良いものは稀なようです。今回は19世紀後半頃の確かな素材と造形力を持つ古手のカヤックに出合えました。

杉(或いは松)の骨組みに、舟底から舟の先端にかけて骨を取り付けたり、漕舟席の皮巻きも本格的で丁寧な造り。惜しくも、漕ぎ手は失われていますが、とりわけカヤックの大きさ、そして優美なフォルム、皮の肌あいもとても美しいと思いました。

余談ですが、実は、本作と出合う前にケ・ブランリー美術館で、同種のカヤックモデルを鑑賞していました。
アフリカ、アジア、オセアニア、アメリカ大陸…世界各地の生活道具や民族芸術を旅するようにぐるりと眺めていくなかで、その日はイヌイットの舟(と、アザラシのナイフ、アノラック 画像10,11,12はケ・ブランリー美術館にて撮影)が特に気になっていました。

巡り合わせとは不思議なもので、それから数日も経たない内に、まさかカヤックが自分の手元へやってくるとは思いもしませんでした。
この買付では、まだまだ自分の知らないものの美しさに触れて感動する旅となりました。

 

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