寒川義雄 展
2020.11.28 sat – 12.6 sun
11時 〜 17時
作家在廊日 | 11月28日(土)
会期中休業日|12月3日(木)、4日(金)
今夏、広島に工房を構える寒川さんを訪ねた折、僕がフランス西部の旧市街で出逢った納屋の扉を、アトリエの扉として付け変えてくださっているのを拝見しました。
そのとき既に厩の戸のように湿り気を帯びた和の匂いがして、越境するヨーロッパ古道具の姿を垣間見れた気がして感慨深いものでした。
アトリエの中には欧州や朝鮮の古陶磁、日本の土器など焼きものに限らず、古布や木彫、信仰と崇敬の対象とされた道具が暗がりにひっそりと置かれていました。
広島の気候風土から生みだされる寒川さんのふつうのお茶碗の中にも、どこか捉えがたい異国情緒が入り混じるのは、
そんな世界各地の古民藝が作陶の傍らにあるからかもしれません。 唐津の土も用いて朝鮮の古い碗に学び吸収しながらも、
ヨーロッパの雑多とした道具や向こうの風土もミックスされた感覚は、茶碗の約束事と束縛から逸脱しようとする寒川義雄のフリースタイルな碗。
皮肉にもコロナ禍が個人に探究や目覚めの猶予を与えたとしたら。
独り篭って作りとおしていた寒川さんの器を、期せずして今年は間近でじっくりと触れる機会が得られました。
さて、本展は薪窯から焼きあがったばかりの器など、主に飯茶碗や鉢を中心に僕の好きな器だけを選ばせていただき並べるという、自分勝手ながら贅沢な展覧会となりました。
白いご飯は美味しく、一服にもよさそうな茶碗から、カケて枯れたひと癖ある茶碗まで。
本年締め括りの展覧会、皆さまにお好みの器との出逢いがあれば幸甚です。