
ドゴン族のネックレス
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ここに6つ並べたのは、マリのドゴン族のネックレスです。ドゴン族の鍛冶屋の手仕事によるもので、司祭が身に付けたという装飾品である信仰の道具です。
この欧州買付で仕入れることができたのは、6本のみでしたが、いずれも質の高い美しい造り。「ドゴン族のネックレス」とした主題で、小さな展示会を開いてみたくなりました。
ネックレスの製作時期は18〜19世紀頃と考えられ、この買付中に訪ねたケ・ブランリー美術館にも同種の品が収蔵されていました。パーツには石や煌びやかなガラスを使い、楽器のモチーフを取り入れたり、非常にユニークで芸術性の高い造形作品です。
この内の三本には、旧石器時代の古代石が使われています。その複雑な模様は妖しくも美しく、緻密で硬いけれど、滑らかな手触り。そして、青と赤の縞模様の二つの玉は、ベネチアンガラスを用いたもの。飴細工のような鮮やかな色彩と形に魅了されます。金属製のものは、楽器や指輪や装身具をモチーフとして愉しげです。
これらのネックレスの作り手であったドゴン族の鍛冶屋。彼らは、一介の職人には留まらず、社会的な役割を果たした存在だったといいます。
日常生活に欠かせない道具や武具を作りながら、信仰にかかわる精神的な装飾品も作る。独自の技術と精神性をもった鍛冶屋の人々は尊敬され、調停者としての役割も果たして、争い事を解決したり、社会のバランスをも保ったとされます。
また、ドゴン族の神話では、鍛冶屋は天上の起源を持つといわれ、先祖伝来の儀式や信仰が部族内での特別な地位を高めていたようです。そうした背景があり、このネックレスに宿っている、秘められた力に、心を打たれたのかもしれません。
これまでドゴン族のネックレスを、手に触れたことはありませんでした。存在を関知しない物を、無数にある物の中から、直観的に見つけ出すことは、本当に難しい。
このネックレスを美しい、と感知できたのは、そう教えてくれる人と運良く出会えたからでした。その視点を教わり、感知しても、美しいと感じるのも人それぞれでこれも縁のよう。展示会のかわりに記録として。どなたかの心に残ってくれたら嬉しいことです。
