
木製織物用器具
スウェーデン(或いはスカンジナビア)
18世紀後半-19世紀初頃
38.5cm 16.5cm
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バンド織と呼ばれる紐織りに用いられた器具である、北欧の木製へドル(綜絖)です。
紐の織物は古代より世界各地にみられ、スカンジナビア半島周辺地域においては、中世の頃から長く作られ続けてきた伝統的な織物と云われます。本作の構造自体は簡素ではありますが、馬の装飾や文字が彫られていたり、個性的で魅力ある意匠。「bandgrind」と呼ばれて、古作はフォークアートの分野でも人気があり好まれています。
今回のヘドルは、馬の彫り方や木の摩耗具合から1800年前後と推定される古手の作品です。左側は欠損していますが、幸いにも馬の全体像は残ってくれており、手擦れは味わい深く、鬣の彫り込み、表情もまた良いもの。
ちなみに裏側の下部には、もう読み取ることのできない薄れた文字が手紙を綴ったように残されています。
その昔、スカンジナビアでは、青年がこのようなヘドルを彫り、言葉を添えて心惹かれる好きな女性へ贈った習慣があったのだそう。もし、そうであれば読むのは憚られ、消えてしまってよかったのだろうと思った。
ただ、この馬に漂う、和やかでいて端正な姿は、いまも作り手の心を表出しているに違いないことは確かでしょう。
